最高裁判所第二小法廷 昭和31(オ)1033 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人大野義忠の上告理由第一点について
原審は、本件にあらわれた一切の証拠を検討の結果、所論贈与契約が成立したと
いう上告人の主張を排斥しているのであつて、右認定は首肯することができる。そ
して右の如く贈与契約の成立が認められない以上、所論のような履行があつた旨の
主張ないし贈与の成否に関する間接事実の主張に対しては、必ずしも一々判断を示
す必要はなく、原判決には所論のような理由を尽さざる違法があるものとは認め難
い。それ故、所論は採用できない。
同第二点について
所論乙一号証の一、二および乙三号証が真正に成立したという原審の認定は、原
審挙示の証拠に照らし是認できない訳ではなく、法律上、必ずしも所論証拠を採用
して前記書証の成立を否定しなければならぬものではない。所論は、結局、原審の
裁量に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採用し難い。
同第三点について
所論は、被上告人も、Dから上告人へ贈与があつた事実を認めていたというが、
それが裁判上の自白でないことは記録上明白であり、所論の事実は単なる間接事実
に外ならない。ところで、原審挙示の証拠および原審における弁論の全趣旨を対照
してみれば、たとえ所論のような間接事実があつたとしても、未だ原審の認定を違
法とし、上告人主張の贈与契約成立の事実を認定しなければならぬものではない。
されば所論間接事実の点は、原判決の主文に影響あるものとはいい難く、所論は採
用し難い。
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同第四点について
所論原審の認定は首肯できない訳ではなく、所論は、結局、原審が自由裁量に基
き適法になした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採ることを得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
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